大口径の配管ライニング
「日本工業出版より」
1.はじめに
プラント(工場)・高層ビル・地域冷暖房・送水管・ダムや橋梁などに使用されている
配管は、建造物の地下や国道下に埋設されている場合が多く、基本的に配管替えが不可能なことが多々あります。
そこでなるべく非破壊にて埋設配管をリフレッシュする方法が必要となります。
配管内の劣化が進行すると、漏水問題や管内スケール等による水質劣化が生じ、周辺接続機器の故障に発展する場合が想定されます。
ステンレス鋼管や銅管の場合においては、急激に腐食が部分的に発生して、
配管替えを実施しても根本的な解決にならない事が多いようです。
ここでは、大口径管内面全面をライニングする事で、大
部分の腐食要因を遮断して管路をリフレッシュする方法をご紹介致します。
2.大口径改修について
大口径配管の曲がり、分岐、異径継手、小口径接続等は、管内に堆積物が溜まる箇所や
腐食劣化が進み漏水が生じる箇所が発生します。
場合によっては、スケールの塊が大きくなって枝管を閉塞させる場合もあります。
そこで配管内クリーニングを十分実施することが必要です。
クリーニングが良好であれば、ライニング工程がスムーズに行えます。
下記にクリーニングとライニングの種類を示します。
配管クリーニングにおいては、管壁に発生付着した錆やスケールを効率良く根こそぎ除去する必要があります。
配管内現在のクリーニングの方法としては、
●ピグクリーニング
●スクレパークリーニング
●ウオータークリーニング及び高圧洗浄
●サンドジェットクリーニング
●薬品洗浄等
が主に使用されています。
※大口径の場合はピグクリーニングやスクレパークリーニング等を使用
続いて管内面ライニング(ライニングサービス)においては、ライニング膜厚をなるべく
厚く安定した状態を持続させる必要があります。
施工方法としては、
●管更生工事(ピグ工法・サンドジェット工法等)
●管更生工事(反転工法)主に直管部分に使用。
●FRP部分補修 が良く使用されています。
●管径650A以上になると作業員による手塗り等
が主に使用されています。
3.管更生工事の開発
おおよそ大口径配管が同一サイズ(口径)にて、分岐が無い直管である現場は少なく、
ほとんどは異径継手や分岐、曲がりある状況となります。
この曲がりや分岐、異径部分を含めて管内ライニング加工を実施する必要があります。
しかしながら、他工法では直管部分もしくはロングエルボのライニング施工以外は対応
が難しいのが現状で、分岐や異径継手等設置箇所毎に配管切断が生じ、ピット掘削が増えるため土木工事が増加します。
特に地域冷暖房配管のような全システムが街の地下全域に巡っている場合は、
既存配管には岐管や異径管がたくさん混在しており、掘削作業の増加は避けられません。
これらの問題をクリアーすることは以前より望まれていました。
また、下記の留意事項が埋設管としてあげられます。
●管内堆積・付着スケールの除去
●配管漏水箇所の有無及び補修加工
●ライニング前、管内の乾燥状況確保
●配管溶接部分の状況(垂れ込み有無)
●配管枝管取合い部分の状況
4.ピグ工法概要
4-1.ピグ工法とは(ピグによるライニングサービス)
ピグをランチャーキャッチャーにて配管内へ送り、管内をクリーニング及びライニングするもの。
4−2.ピグの使用状況は、
(1)配管切断しランチャーキャッチャーを設置。
(2)配管内径に対して数種類のサイズの研磨クリーニングピグを用意して、
施工配管内面に水圧にて圧送して管内のスケール等を削り配管外へ押し出す。
(3)管径に見合ったクリーニングピグにて管内の残りスケールを拭い去る。
(4)乾燥空気にて管内を乾燥。
(5)エポキシ樹脂等の仕上げ用樹脂をライニングピグで押し出す。
(6)乾燥空気にて管内を乾燥。
4−3.機材設置状況
●ライニングマシーン(3t車搭載)
●コンプレッサー190PS
●集塵機車(3t車搭載)
●ポンプ車(3t車搭載)
●機材運搬車が設置されます。
4−4.騒音問題
耐圧ホースにて各機器と施工配管を接続するので周辺に埃を出さずクリーンです。
大きな音の発生するのはコンプレッサーと発電機のみでどちらも防音タイプを使用。
必要な場合は防音シートにて対応。
5.適用範囲
5−1.施工対象配管
SGP・ライニング鋼管・ステンレス鋼管・銅管・鋳鉄管・塩ビ配管等に実施。
5−2.施工用途種類
●プラント配管
●地域冷暖房配管
●送水管
●冷却配管
●排水管
●水管橋
●ガス配管
●プール循環配管
●電線管
●農業配水管
●消火配管
●雨水管
●海水配管
●薬品配管等
5−3.配管径について
ピグ工法としては配管径20Aから800Aに実施。
但し場合によっては、配管径が100A程度までは、サンドジェット工法(ライニングサービス)がより施工性が良い場合があります。
※配管径800A以上は別工法にて実施。
5−4.配管形状の制限
エルボー(曲がり)、チーズ(分岐)、レジューサー(異径継手)が混在のままで実施可能ですが、
バルブや機器類、計装品が配管上にある場合は、脱着工事が必要となります。
また配管の腐食が著しく進行している場合は、これら機器類は新替えする事をお薦め致します。
また、配管切断箇所等の設計については(管更生工事開発メーカー指定者)のヒアリングが必要と考えます。
※現場状況の確認が必要。
6.使用樹脂の許容範囲
使用樹脂は現場の施工時期、ライニング施工制限状況に応じ設計が必要です。
《主な諸条件》
管材料・配管径・接続方法・敷設日・敷設場所及び敷設条件・流体においては成分・濃度・温度条件及び変動・使用圧力条件
(変動)・PH値を基に行います。
現場においても、ライニング材保管(温度・湿度・混合状況)管理を充分行う事が必要です。
管理を充分実施することで、天候に左右されず現場施工が可能となります。
6−1.使用ライニング材
○エポキシ樹脂
○タールエポキシ樹脂
○ポリエステル樹脂
○ビニルエステル樹脂 等を使用
※飲料を伴う場合はJWWA Kー135品を使用
※コンクリート管場合は、JWWA K −143品を使用
6−3.流体温度
0℃から98℃(飲料を伴う場合)
※0℃以下の場合も低温ライニング材にて対処。
6−2.ライニング塗膜厚
大口径の場合塗膜厚みは1000ミクロン以上
7.その他ライニング
●積層ライニング(管更生工事)
異なるライニング材の得意な性能を生かし、積層ライニングする事で、施工性とライニング層の安定性を図るライニング方法。
●ピンホールライニング(管更生工事)
ピンホールにライニング材を充填して穴をふさぐと共に、配管内面全体を防蝕加工する方法。
8.おわりに
埋設配管の修繕工事は、なかなか簡単には行えない上に事故が発生した場合は大きな問題になります。
計画的な事前対策が必要です。
漏水事故による地盤沈下や、不明水混入問題、配管脱落等によるシステムダウンなどが起きないように、
なるべく内外面の防蝕加工が必要と考えます。
また管更生工事を選定することで廃材を減らしリサイクルを実施するものです。