レジオネラ菌対策
「日本工業出版株式会社より」
【1.はじめに】
循環温水配管設備においては、管理状況によってレジオネラ菌が大量繁殖することが知られているが、通常の場合は、
使用給湯温度を65℃以上に上げたり、塩素濃度を上げたりして事前になんらかのレジオネラ菌対策を既に設置している。
しかし、不運にも大量に発生問題が生じた場合の対応策については検討されていない場合が多いと思われる。
今回は、既にレジオネラ菌が大量発生した場合の対応策について紹介する。
病院や福祉施設等でレジオネラ菌が大量発生し事故が生じた場合は、問題解消されるまで営業が出来なくなると共に、
特に対処が長引けば信頼信用を失う事となる。
そこで、これらの場合に実施する対応策には、即効性がある上に、根本的な根絶処理が要求される。
レジオネラ菌増殖を抑制する方法は様々あるが、効果が出るまでの時間差や公共工事としての対応性
(施工後引渡時の検査に対処出来ないものがある)が問題となり、レジオネラ菌防止対応策として最良と言えない場合も多いようだ。
また、現場の配管設備は様々な条件のもとに設置されている上に、配管ネジ部分、バルブや計装機器類内及び配管内面錆等に侵
入した菌まで除去するのは、従来の方法ではなかなか困難な作業となる。
特に配管材質がSGPの場合は、配管内面が錆で閉塞するほど詰っている場合があり、この錆が
邪魔をして洗浄や殺菌(塩素等)の効力が低下し通常の能力が発揮しにくい状況となる。
【2.除去及び目詰ライニングの考え方】
除去作業としては、配管内面をブラストクリーニング(圧縮空気等に研磨材を混入して配管内に送り錆を削り落とす)
することで、錆ごとレジオネラ菌を削り落とす。
削り落とした錆は圧縮空気等により配管外へ送られ、集塵機に集積される。
目詰ライニングとは、十分除去作業が終了した後、継手等が配管上に設置されたままの状態で、
接合ネジ丸ごと配管内面を液体状のエポキシ樹脂にてライニングを実施する。
ライニング材は硬化すると一体化したプラスチックとなる。
また、現在使用中の継手接続部分には、ライニング材によって継手の溝等が目詰されると共に、錆が発生しなくなるので、
今後の維持管理上に必要な配管内洗浄等も効率良く管理できる利点がある。
【3.施工可能配管系統】
給湯管・冷温水配管などのレジオネラ菌が発生する可能性がある系統において実施。
- SGP。塩ビライニング鋼管。銅管。ステンレス鋼管。塩ビ配管等に施工。
- 配管サイズは、標準として13mmから800mm。
- 配管サイズが800mmを超える場合は、別途工法にて施工実施。
- 樹脂設計温度は熱変形温度DRYを98℃までとする。
- 配管はエルボやチーズが混在したままで施工。
- 配管施工系統を細切れにして部分施工も実施。
飲用給湯系配管に施工実施。
【4.施工工法について】
この方法を配管更生工事といい、施工工法名称は
サンドジェット工法
もしくはピグ工法となる。
施工は、一気に全管実施するものではなく、いくつかのパーツに分けて各工程を確認しながら進めていく。
系統を分けて施工することが基本なので、今回実施したい範囲だけ選択的に実施することもある。
予算と効果を見ながら施工計画が立案できるため、施工に余裕が生まれる。
仕事の工程フローとしては、
- 配管調査及び周知作業
- 機材設置及び現場養生
- 天井点検口設置等建築作業
- 配管切断及び水抜き、保温撤去
- 配管内クリーニング
- 漏れ検査
- 配管内エポキシライニング
- ライニング養生
- 配管復旧工事
- 通水検査
- 保温工事
- 立会検査
養生撤去及び機材搬出
【5.封じ込め樹脂について】
使用される湯を人が飲む可能性がある場合は、エポキシ樹脂でJWWA K-135品のライニング
材を使用しなければならない。
また、給湯や冷温水配管の熱源がボイラーなどの場合は、余裕を考
慮に入れ、水の沸点まで耐えられる樹脂を使用する必要がある。
そこで、特記使用として官公庁の物件では下記の項目がうたわれる。
(1)使用樹脂はエポキシ樹脂とする。
(2)使用するエポキシ樹脂30分間の煮沸に耐えるものとする。
(3)JWWA K-135検査方法に適合したものを使用すること。
(4)エポキシライニング膜厚は500ミクロ以上とする。
【6.その他の複合効果】
このサンドジェット工法やピグ工法のその他の効果として、もともと、既存配管の老朽化対策と
して、配管の延命と管内状況改善(配管リフレッシュ)の効果を狙った方法であり、下記の対策と
しての効果がある。
(1)ライニング鋼管ネジ部の錆による赤水対策
SGPのみならず赤水問題は給湯の場合良く発生する。
配管更生工事は、配管継手も直管も根こそぎ内面をライニング材が覆い硬化するので、
一体化したライニング層が、施工後通水時から赤水問題が解消。
(2)銅管やステンレス配管電食による穴明き対策
銅管やステンレス鋼管を給湯で使用すると、2年程度でピンホールが開き漏水を伴う場合がある。
ピンホールが発生した場合の対応策として、ピンホールを樹脂で塞ぎ漏水を止めるピンホールライ
ニングが必要となる事があるが、ピンホールがあく前に内面ライニングを施していれば、ライニン
グ層で水漏れをカバーするので電食問題を回避する。
(3)機械室ボイラー廻り配管短管ライニングに使用される
機械室廻りは温度が80℃程になる場合が多く、配管内面ライニング材はその使用温度より余裕
を持った耐熱性が必要となる。
この為98℃以上の耐熱性ライニング材にて短管ライニングを行う。
【7.その他のライニング】
配管の先には機器類(貯湯槽・ヘッダー等)が存在し、これらの修繕も必要となる。
これらにおいても同じエポキシ樹脂にて槽内をライニング加工が可能。
貯湯槽や貯水槽、蓄熱槽の材質は、FRP・鋼製・ステンレス・銅・RC等に施工実施。
【8.おわりに】
配管替えなどは急には実施できるものではなく、工期も長くなり長期間営業休業となる。
配管更生工事は、配管替えと比べ工期が短縮されると共に、コスト面や施工要領においても柔軟に対応可能と考える。
まさに営業しながらの工事進行も可能な場合がある。奥の手のレジオネラ菌対策方法として提案する。
最後に、配管更生工事を実施すれば施工直後には、レジオネラ菌は管内に存在しないが、施工後発生するレジオネラ菌を抑制したり、消滅させたりするものではないのでレジオネラ菌が発生しないように抑制する手法を併用して使用する必要がある。